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クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第5回 】

2022/12/15(初回公開日:2022/03/08)

大きく変化している昨今の情勢を受け、ますます需要が高まっているクラウドサービス。本連載では、クラウドの利点を徹底的に活用するべく、サービスのメリットデメリットを含め、詳しくご紹介します。

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢と銘打って、「国内外のクラウドベンダーの特徴や強み」や、「オンプレミスとの比較や懸念事項」、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドにおける特徴や構成概要・懸念事項」など、計6回に渡り連載しています。

クラウド環境の導入を行うにあたり、機密データの取扱い等の問題により、すべてのシステムをクラウド化はできず一部のシステムはオンプレミスやプライベートクラウドに残して運用するケースも想定されます。このようにパブリッククラウドとオンプレミス/プライベートクラウドを組み合わせて運用する方式として「ハイブリッドクラウド」があります。

第5回目は「ハイブリッドクラウド」について解説します。

第5回 ハイブリッドクラウド概要

複数のタイプのクラウド環境を混合させ、それらを相互接続してひとつの環境を構築するモデルです。

ハイブリッドクラウドの特徴

  • 複数のクラウド環境、サービスを併用
  • 実装モデル(クラウド環境構築方法)の一種
  • 各環境、サービスを統合して単一のシステムを成立させる
  • クラウドの総合接続が必要

パブリック、プライベートを混合させるモデルが一般的ですが、オンプレミス環境とクラウド環境を混在させるモデルもあります。

ハイブリッドクラウドの利用シーン

  • 顧客情報の保管・開示を行うシステムにおいて、オンプレミス(もしくはプライベートクラウド)側で機密情報を保管し、パブリッククラウド側で情報公開を行うとき
  • モバイルと連携した業務システムにおいて、パブリッククラウド側でモバイルアプリケーション連携を行い、プライベートクラウド側で基幹業務処理を行うとき

ハイブリッドクラウドのメリット/デメリット

【メリット】
  • 負荷分散が可能
    ビジネスの業務領域や情報の性質に応じて、マシンスペックを増減できるため、クラウドの負荷分散ができます。
  • 安価にセキュリティタイセイを構築可能
    重要度の高い情報はプライベートクラウドに、優先度の低い情報はパブリッククラウドに区別することで、高度なセキュリティ体制を確保しつつ、コストを抑えることが可能です。
    また、データを分散して物理的に異なる場所で保存・管理することで、マルウェアの感染や災害時において、早急にBCP及びDR対策など、情報の可用性を高めることに寄与します。
【デメリット】
  • 運用負荷の増加
    ハイブリッドクラウドは、システム構成が複雑なため、求められる管理項目や必要となる知識も多様化することから運用が難しくなる可能性があります。
  • システム設計、構築の複雑化
    ハイブリッドクラウドはシステムの性質上、複数のタイプのクラウド環境を混合して、それらを相互補完する形で利用することになります。そのため、プライベートクラウド及びパブリッククラウドの理解度はもちろん、システムを構築する上での構成や統合における知識や技術が不可欠となります。

ハイブリッドクラウドの導入事例

以下はコールセンターシステムのクラウド化の事例です。

  • 各地に分散したコールセンターのシステムをクラウドで1本化
  • 顧客情報は全てクラウドにて集中管理
  • セキュリティを考慮しクラウドシステムへのWebアクセスはVPN Gatewayからのみに限定、各コールセンターから外部へのアクセスはクラウド上のProxyを必ず経由するようにし管理を一本化
  • 電話の着信は各コールセンターで受け、情報をクラウドのCRMシステムに登録、メールは直接CRMシステムが受信し一覧化
【システム構成イメージ】
ハイブリッドクラウドの導入事例 システム構成イメージ

次回は「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの違い」について解説します。

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第1回 】

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第2回 】

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第3回 】

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第4回 】

クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第6回 】

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