【2026年義務化】物流効率化法とは?特定事業者・CLO向け対応策とIT活用

はじめに
近年、ドライバー不足の深刻化(2024年問題・2030年問題)に伴い、 物流を取り巻く環境は大きく変化しており、荷主・物流企業ともに法改正への適切な対応が求められています。
特に「物流改正二法(物流二法)」への関心は非常に高く、 先日当社が出展した「運輸安全・物流DX EXPO 2026」でも、多くのブースでこのワードを目にし、各社の関心の高さを改めて実感しました。
「運輸安全・物流DX EXPO 2026」(2026.5.27〜29)
そこで本記事では、すべての荷主・物流企業が押さえるべき「物流効率化法」の全体像と、 特定事業者の指定基準やCLO(物流統括管理者)の役割、 そして現場で今すぐ取り組めるIT活用のポイントについて解説します。
物流効率化法の概要と制定の背景
「物流二法」とは、一般的に2024年5月に改正された物流関連の2つの法律を指します。
トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制によって生じる「2024年問題」や、
2030年に約34%の輸送能力が不足すると試算されている「2030年問題」に対応するため、
物流の効率化や取引の適正化を目的として同時に改正されました。
【物流関連二法の柱】
① 物流効率化法(旧:流通業務総合効率化法)
荷主・物流事業者・倉庫業者等における「物流効率化」の推進
② 貨物自動車運送事業法
運送事業者の「取引適正化」「下請構造の是正」「健全な市場環境整備」
物流効率化法は、下記の通り2025年度と2026年度の2段階で施行されました。
①2025年度~:すべての荷主・物流事業者に対する規制的措置(努力義務)
②2026年度~:一定規模以上の特定事業者に対する措置(義務)
以下、それぞれの詳細です。
①2025年度~:すべての荷主・物流事業者に対する規制的措置(努力義務)
すべての荷主・物流事業者は、主に下記の実施に努める必要があります。
- 積載効率の向上 :1回の運送でトラックに積載する貨物量を増加する
- 荷待ち時間の短縮:ドライバーが到着した時間から荷役等の開始時間までの待ち時間を短縮する
- 荷役等時間の短縮:荷役(荷積み・荷卸し)等の開始から終了までの時間を短縮する
- 実効性の確保 :取組の推進体制を整備し、効果の把握や関係事業者との連携を行う
② 2026年度~:一定規模以上の特定事業者に対する措置(義務)
取扱量や車両数が一定基準を超える事業者は「特定事業者」として指定され、努力義務に加えて法的義務が発生します。

特定事業者については、努力義務に関する取組状況が国の行政機関が示す判断基準をもとに確認されます。
取組状況が判断基準に照らして著しく不十分である場合、下記の対応がされる場合があります。
- 行政機関が事業者に対して報告を求める場合がある
- 行政機関が事業者に対して措置を取るべき旨を勧告することがある
- 事業者が勧告に従わなかった場合、その旨が公表されることがある
- 事業者が正当な理由なく措置を取らなかった場合、措置を取るべき旨が命令されることがある
- 命令に違反した場合、百万円以下の罰金が科せられる
また、特定事業者には下記が義務付けられます。
・中長期計画の作成
判断基準を踏まえた措置の実施に関する中長期的な計画を定期的に作成すること。
・定期報告
特定事業者としての指定を受けた翌年度以降の毎年度、「努力義務」の実施の状況に関して報告すること。
・物流統括管理者(CLO)の選任
事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者を、経営判断を行う役員等の経営幹部から選任すること。
※物流統括管理者(CLO)の選任については、特定事業者の内「特定第一種荷主」、「特定第二種荷主」、「特定連鎖化事業者」にのみ適用されます
【物流統括管理者(CLO)に求められる役割】
物流統括管理者(CLO)は、単なる現場の管理にとどまらず、
経営視点から全社・サプライチェーン全体を統括し、持続可能な物流体制や全社最適を構築することが求められます。
営業や調達など全社を巻き込んだ取引条件の見直しをはじめ、
現場のデータ(荷待ち・荷役時間等)を数値化して中長期計画やIT投資を主導するなど、経営主導での構造改革が期待されています。
中長期計画の作成や毎年の定期報告では、荷待ち・荷役時間や積載率など、定量データの把握が不可欠となります。
WMS(倉庫管理システム)やTMS(運行・配送管理システム)等を未導入のアナログ管理のまま放置すると、
データ集計作業だけで現場・管理部門ともに膨大な負担がかかり、報告体制がパンクしてしまうリスクがあります。

荷主・物流企業が今から取り組むべき対応とIT活用
法改正に円滑に対応するためには、単なる精神論ではなく具体的な業務改革とIT活用(物流DX)が不可欠です。 特に現場では、次の5つのアクションが求められます。
①業務内容の可視化
荷待ち時間・荷役時間・積載率の現状把握など
②事業者間の連携
発荷主・着荷主・運送業者間でのスケジュール共有など
③IT化の推進
バース予約システムや配車管理システムの導入など
④データ活用
定量的なKPI(荷待ち時間・荷役時間等)の設定と定期的なモニタリングなど
⑤現場の改善
荷札の標準化、パレット化、検品作業の効率化など
国土交通省が公開している「中長期計画書・定期報告書の記載事例」においても、
「全社的に物流効率化を実施しているモデルケース」として下記のような施策が前提とされています。
・ AIを活用した配車計画・トラックバース予約システムなどの導入
・ 入出荷量の平準化や荷待ち時間等に関する定量KPIを設定し、定期的なモニタリング
たとえば、以下の企業事例があります。
<N社>
N社は、ドライバー不足の深刻化や物流改正法への対応を見据え、トラック予約受付サービスや配車受発注・管理サービスを導入しました。
SAPやRFIDと連携して物流データをリアルタイムに収集・可視化することで、荷待ち時間の削減や業務効率化を図るとともに、継続的な物流改善を支えるデータ基盤を構築しています。

おわりに
今回の物流改正法は、単なる法的規制やコンプライアンス(法令遵守)への対応にとどまりません。 人手不足が深刻化する中で、「感覚に頼った物流管理からの脱却」を果たし、企業の持続的な成長を実現するための業務改革(DX)の絶好の機会です。
2025年度からの「努力義務」、そして2026年度からの「特定事業者向け義務(中長期計画の作成や定期報告)」をクリアするためには、 WMS(倉庫管理システム)やTMS(運行・配送管理システム)、バース予約システムなどを活用し、 荷待ち時間・荷役時間・積載率といった現場データを定量的に可視化・蓄積することが不可欠となります。
「自社の現状のデータで対応できるか不安」「現場に負担をかけずにWMS/TMSのデータ化を進めたい」といった 現場の課題・懸念に対応するためには、課題が見え始めている今こそ業務フローを見直し、適切なシステム基盤を整えておくことが成功の鍵となります。
当社はこれまで、25年にわたり物流倉庫システムの開発・導入に携わり、年間平均20件以上の取引実績を有しております。 既存システムの利活用も含めた「倉庫管理リノベーション」を通じて、お客様の現場や業務フローを深く理解したうえで、 WMS・TMSの連携も含めた法改正に柔軟に対応できる最適な物流システムをご提案いたします。 まずはお気軽にお問い合わせください。





