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オンプレミスからクラウド移行の第一歩 〜AWS移行時の不安払拭に有効策。事前検証としてのPoC〜

2022/06/06(初回公開日:2021/07/12)

はじめに

 個人に限らず企業においても「クラウド活用」というと「クラウドサービスを新たに契約して利用する」という選択肢(ひと昔前でいうとパッケージソフトやASPの利用のイメージ)が、わかりやすく、話題の前面によく登場します。導入のコストも安価であり、月々のサブスクリプションという形で、無料プランも含めたミニマムスタートが可能なのも魅力の一つでしょう。

一方で、もともと企業が独自の情報システムとして保有している「独自アプリケーションとしてのIT資産」をクラウドに移行することは後回しにされがちです。企業ごとに置かれた状況によって理由はさまざまで、たとえばクラウドの信頼性やオンプレミスの安心感、クラウドはいまだにそれこそ雲をつかむようなよくわからない世界といった抵抗感、コスト、スピードといったところがよくわからない、などの不安要素から、なかなか進められないお客様のケースもよく見受けられます。

 AWSといったクラウドに限らず、自社にとって初めての技術要素を活用する取り組みは、実際に想像通りの結果が得られるのか、どれだけのコストがかかるのかなど予測が難しく不確実性が高いことから、計画して実行する情報システム部門自身も不安になり、社内合意形成に結びつけるのが困難なケースが多々あります。その不安要素を残したままのIT計画では、のちに高額となる可能性があるということで投資予算がつかなかったり、そもそものIT投資に関する稟議が難航してしまうこともありえます。企業のIT投資において、まずは最小限のコストでテスト的に実施する「試行的、部分的な取り組み」で有効性を「見える化」して、その後の計画の実現性を社内全体で共有することが、解決策のひとつとして有効です。

 これは、PoC(Proof of Concept)と呼ばれるもので、日本語では「概念実証」とも訳され、新しいプロジェクトを立ち上がる際にコスト、期間、信頼性・実効性などの見極めとして、本格的にプロジェクト稼働する前に本当に実現可能かどうかを、技術的な観点やビジネス面での効果から検証する取り組みを指します。

 今回、AWS上で既にいくつかのシステムを運用し、クラウド活用の有効性をすでに実感していただいているお客様より、新たにオンプレミスで運用中の業務システムをAWSへ移行したいとのご要望をいただきました。実際に移行計画をご提案したところ、お客様の社内での合意形成がなかなか進まない状況になったこともあり、本格移行の前にPOCを実施し、実現性を検証することになりました。この事例をご紹介いたします。

PoC 試行に至るまでの背景

 このお客様の事例においては、大きなIT方針としてはすでに「将来的な全面クラウド化、AWS活用」が前提の方針とはなっていました。この方針のもとで既存のオンプレミスシステムの一部はすでにAWSへ移行している途上でした。企業全体としては、同業他社と経営統合した過去もあり、現在でも様々なシステムがオンプレミスで運用されています。リスク、年間のIT予算、情報システム部門の人的リソースなども考慮し、以下のタイミングなどを契機として、順次クラウド環境へ移行するということでスタートしました。

  • 現行オンプレミス環境のハードウェア保守期限のタイミングに合わせてAWS移行を計画
  • Oracleなどのミドルウェアの保守期限が近いタイミングを見計らい、既存のRDBをRDSへ移行を計画

PoCの目的

 PoCにおいては、何を達成したらOKなのか、ゴールを明確にすることが大切です。また、できる限り本番に近い環境で行いフィードバックを得ることが大切です。今回は、対象システムの本番移行をスムーズに実施するため、事前検証としてPoCを実施し、クラウド環境においても確実に性能や品質が担保できること、および本移行に際しての本番移行手順書と本番移行時の課題抽出を目的としました。

  • 既存RDBからRDSへの移行手順の明確化とリスク、課題の抽出
  • 一部のWEB/アプリケーションサーバを先行して移行し、動作検証
  • AWS移行後のアプリケーションのパフォーマンス検証
  • 「AWS移行ツール」を使用したシステム全体の切替オペレーションの検証?

現行環境とPoC検証環境

現行環境

PoC検証環境

PoC実施/検証内容の実証

 可能な限り実際の使用を想定したユーザー、環境、状況を再現して検証を実施します。実際の製品やシステムを使用するユーザーや状況に沿った上でより詳細かつリアルなデータを取得します。PoCを実施したのち、結果データを検証し実用性、課題などを検証、評価します。

PoC検証内容

  • 旧DB環境(Oracle 11g)を、AWSのRDS環境(Oracle 19c)に定量、全量の順で移行。WEB/APサーバをAWS上に移行し、動作確認及びパフォーマンス検証を実施。
  • ダウンタイムを最小限にした移行・切替方式の確定。
  • システム全体の移行範囲・切替手順を明確にし、切替手順書を作成。
  • 下記の現状課題の対応策を検討。
  • AWS移行によるDBパフォーマンス劣化の対応策を検討。

PoC検証期間

 1.5か月

活用技術

  • RDS移行:AWS DMS、AWS SCT
  • WEBアプリサーバー移行:CloudEndure Migration

 マイグレーションプロバイダ システムズは、社会情勢の変化のもと、クラウドへの移行サービスなど新しい技術への展開を行っており、多くのお客様の、移行や移行前後についての支援を行っています。PoCをご検討中の方、今のやり方を改善したい方はぜひご相談ください。

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