Re:structure AIとは?現場視点で語る賢い活用法・運用のヒント

目次
はじめに
今回、私たちが開発・提供を始めた「Re:structure AI」について、「なぜこのツールが今求められているのか」「どう使えばいいのか」「現場の困りごとや解決にどう役立てられるか」をご紹介します。
レガシーシステムの悩み: それでも手をつけられない現実
昨今、「モダナイゼーション」や「マイグレーション」といった言葉を耳にする機会が増えています。しかし実際の現場では、レガシーシステムの刷新が思うように進まないケースが多く見られます。
例えば、
- 現状のシステム全体像を正確に把握できていない
- 現場部門が経営層に十分な説明を行うための情報基盤が整備されていない
- データや仕様が各所に点在し、属人化・分断が常態化している
という状況が続いており、「どこから手をつけてよいかわからない」という声が絶えません。
このような事態が発生する原因としては、次のような背景が挙げられます。
- 現場は日々の運用に追われており、腰を据えて現状分析や全体設計に時間を割く余裕がない
- システムの改修やテストを実施するたびに、必要なデータや仕様をどこから取得すべきか分からず、その都度対応に時間を費やしてしまう
- 1年、あるいは3年といった中長期スパンでマイグレーションを計画的に推進できるだけのリソースや体制が整備されていない
多くの組織で、こうした負のサイクルが繰り返されています。
「何からどう着手すべきか分からない」というのは決して一部の現場だけの悩みではなく、レガシーシステムを抱える多くの企業が直面している共通の課題です。
システム刷新を成功に導くためには、まず現状を正確に把握し、情報の可視化やガバナンス体制の整備から着手する必要があります。こうした課題認識が、第一歩となるのではないでしょうか。
マイグレーションを進めるために洗い出しておきたい情報
マイグレーションを進める際、最も重要なのは「どんな情報が必要になるのか」を漏れなく把握することです。ここでは、「これは移行時に絶対押さえておいた方がいい」と思った情報を網羅的に洗い出してみました。
まず、欠かせないのは移行対象となる資産の明確化です。移行対象のプログラム、画面、帳票――何が古いシステムにあり、どこまで新しい環境へ持っていく必要があるのか(また逆にどれは不要か)、ひとつひとつ確認が必須です。同時に、各プログラムや帳票と、データベース・ファイルなど管理しているデータ資産との具体的な関連性も整理します。どのプログラムがどのテーブルやファイルを参照し、更新するのか、帳票や各種出力物はどのデータを元に作られるのか、これらを棚卸しておくことで移行作業がスムーズになります。
また、意外と見落としがちなのが運用スケジュールや実際の利用実態です。一日の業務サイクルの中で、どの時間帯に何の処理(定期バッチや締め処理など)が走るのか、週次・月次や年次業務で必要な特別処理はあるのか。さらには、画面や帳票の運用についても、「どこで、誰が、どんな流れで使っているのか(拠点単位の利用だったり、特定権限者しか使わない画面があったり)」も大事です。帳票に関しても、設置されているプリンターや、帳票出力のタイミング、仕分け・保管のルールなども把握しておきましょう。
そして、忘れてはいけないのが非機能要件。バックアップがどこまで現状でなされているか、障害時の切り戻し手順やセキュリティ、運用監視体制なども「現状の把握→移行後どうあるべきか」を意識して洗い出しが必要です。
さらに、多くの業務システムでは外部システムとの連携もあります。連携先システム名、データのやりとり内容や方式(ファイル交換/API連携/リアルタイムorバッチなど)、実行タイミングやプロトコル要件、周辺の制約まで見渡しておきましょう。
以上、多岐にわたる情報を挙げましたが、これらを整理することで「何をどう移すか」だけでなく、「誰に・どのステークホルダーに何を確認すれば漏れがないか」も見えてきます。マイグレーション成功のカギは、最初の情報整理にある――と言っても過言ではありません。自身の案件に合わせてリストアップ・優先順位づけを進めていただければと思います。
「どこから手をつける?」を解決する――計画的な資産棚卸しを支援する新コンセプト「Re:structure AI」のご紹介
レガシーシステム刷新の現場でよくある悩みの一つが、「どこから手をつけるべきか分からない」「十分な情報やデータが揃っていない」という点です。そんな課題に対して、私たちが提案したいのが「Re:structure AI」という新しいコンセプトです。
このAIの目的は、単なるプログラム解析だけではありません。現場目線で、「資産の棚卸し」や「仕様の整理」を“計画的に・無理なく”進めることを目指しています。
Re:structure AIの特徴
今すぐ刷新しなくても大丈夫
「来年以降のマイグレーション」に備えて、一歩ずつ資産の棚卸しや仕様把握が進められます。
普段の業務の中でデータや仕様を計画的に収集
日々の運用や業務イベント(テストデータや年次データなど)を、今から戦略的に収集・一元管理できます。
システム刷新時の混乱を最小限に
一年後や三年後のシステムモダナイズ・移行時に、現場の混乱や抜け漏れを最小限に抑えることができます。
なぜ「Re:structure AI」は効果的なのか?
たとえば、「年次処理のテストデータを至急出してほしい」と突然依頼されて、困った経験はありませんか?
「Re:structure AI」を活用しておけば、「今から1年間、必要なテストデータ・業務データを着実に蓄積する」ことができます。
これにより、「必要なデータが集まっていない」「重要な仕様が見落とされていた」といった、よくある移行プロジェクトの失敗パターンを回避することができます。
資産の棚卸しや情報整理は“来年のための準備”です。
「Re:structure AI」は、先を見据えたシステム刷新・マイグレーションを支える、新しいアプローチとなるでしょう。
どのように取り掛かれば?運用ステップと活用イメージ
レガシーシステム刷新やマイグレーションを成功させるためには、計画的に資産や仕様を整理し、段階的に取り組むことが重要です。ここでは、「Re:structure AI」を活用した3年間のステップをご紹介します。
導入から3年間の活用ステップ
STEP1:1か月~6か月:資産の棚卸し・機能整理
まずはAIを活用し、システム全体の構造や既存資産を自動で整理・解析します。関係者全員で「現状何があるのか」「どこに課題が潜んでいるのか」を可視化し、共通認識を持つことがスタートラインです。
STEP2:7か月~12か月:詳細仕様の整理・必要情報の集約
次に、個別機能や具体的な業務フローを整理し、今後のマイグレーション方法や再構築方針を検討するための基盤を固めます。この段階で、業務や運用データも計画的に収集し、万全の準備態勢を作ります。
STEP3:13か月以降(計画/移行フェーズ):刷新・マイグレーション/保守情報の充実
必要に応じてシステム全体、または一部機能のみの刷新やマイグレーションに着手します。API対応や外部サービス連携の再設計もこのタイミングで行います。
さらに、既存システムの延命や保守情報の整理にも、「Re:structure AI」が引き続き活用可能です。
モダナイゼーションは、「進め方改革」から始めよう
近年、世の中には「とにかく早くモダナイズしましょう!」という掛け声とともに、さまざまなツールやサービスが登場しています。しかし、私たちは本質的なポイントはそこではないと考えています。
モダナイゼーションにおいて本当に重要なのは、現場の実態を正確に見える化し、プロセス全体を最適化しながら、計画的にアクションを起こせる体制を整えることです。やみくもにモダナイズを進めても、課題の可視化や情報整理がなされていなければ、結局どこかでつまずいてしまうケースが多くなります。
私たちの提案する「Re:structure AI」は、単なる技術革新やスピード志向ではなく、「どう進めるか」という“進め方”そのものをサポートするためのプラットフォームです。
まずは現場を正しく見つめ、最適なプロセス設計から。
拙速なアップデートではなく、組織全体で一歩ずつ進化を積み重ねることが、成功するモダナイゼーションの近道だと考えています。
プログラムコピーを可視化!コードクローン解析で拠点A・Bの類似性をチェック
業務システムの開発現場では、拠点Aや拠点Bなど複数の拠点で、同じようなプログラムがコピーされて使われるケースがよくあります。しかし、その後に別々で開発が進むと、「どの部分がコピーされていて、どこが独自に変更されているのか」を人の目で追いかけるのは困難です。
こういった場合に役立つのがコードクローン解析です。
コードクローンは、「プログラム内や複数のプログラム間に存在する、よく似た(またはほぼ同じ)コードの断片」のことを指します。
「Re:structure AI」はコードクローン解析により、拠点AとBでコピーされたソースコードの共通箇所や、独自に修正されたコードの違いを自動で抽出できます。
これにより、
・どの部分が流用・複製されたコードか
・拠点ごとの修正点や独自拡張箇所
・コードのメンテナンス漏れや、不具合混入の温床になりそうな箇所
などを効率的に洗い出せるため、保守性向上やリファクタリングの指針にも役立ちます。
おわりに
これまで多くの現場で、
- 外部ベンダーに頼らなければ把握できなかった資産情報やテストデータの整理
- 手戻りや属人化による非効率な運用に苦しんだ経験
- 経営層への提案が、肝心な情報不足のために実現せず終わったプロジェクト…
こうした「現場の悩み」や「よくある障壁」に、少しでも新しい解決策を提示したい。
それが、私たちが「Re:structure AI」を開発した原点です。
DXやシステム刷新といった大きなテーマは、ひと足飛びで進むものではありません。
「Re:structure AI」が、その過程で“より賢い進め方”をご提案できれば幸いです。
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にご相談ください。




