【re:Invent2024参加レポート】数分でモダナイゼーションを完了させる!?~re:Invent2024で見たモダナイゼーションの最新動向~
はじめに
システムズ 水戸オフィスの髙久です。
2024年12月2日から12月5日にかけて、ラスベガスで開催されるAWSのイベント「re:Invent」に参加してきました。re:Inventはラスベガスの6つのホテルを会場として行われ、世界中のAWSユーザーが集まる非常に大規模なものとなっています。
このイベントでは様々な分野のセッションが開催されますが、私は主に生成AIやモダナイゼーションをテーマにしたセッションを聴講しました。その中で非常に印象に残っているセッション「DEV303 – Accelerate app migration: From legacy to production」について紹介したいと思います。
なお、本セッションは直接会場で聞いたのではなく、セッションの同時中継を聴講することができる「Content Hub」というコーナーを利用しました。
セッションの構成について
セッションには3人のスピーカーが登壇し、それぞれ以下の内容について発表していました。
① モダナイゼーションとは何か、どのようなメリットがあるのか、モダナイゼーションに取り組むにあたって重視すべき点は何かなどの概要
② レガシーコードが引き起こす問題をどのように解決するのかを、デモンストレーションを交えながら説明
③ モダナイゼーションのベストプラクティスについての紹介
数か月、数週間かかっていた作業が…
セッションの途中で、AWSの生成AI系サービスである「Amazon Q Developer」を使用して、Java8の仕様で書かれたコードをJava17の仕様に準拠するように、ソースコードを修正するデモンストレーションが行われました。実際に行われた操作は、Amazon Q Developerの呼び出しと、変換対象のソースやバージョンの指定などの設定値入力だけです。これだけで、修正前と修正後の差分をIDE上で確認できるようになっていました。さらに、コードの修正だけでなく、mavenのバージョンの更新やライブラリの依存関係の修正まで行えていました。デモンストレーションで使用したコードはサンプル用の簡潔なものでしたが、スピーカーによればデモンストレーションと同じ要領で何千行ものコードを修正できるそうです。そして、今まで数か月、数週間かかっていたコードの修正が、Amazon Q Developerを使うことで数時間、もしくは数分で終わらせることができるとのことです。
コードの修正だけじゃない
さらに、Amazon Q Developerを利用することで、コードの修正時にコードの品質を改善するように修正してくれたり、単体テストの実施やテストコードの説明を出力してくれたり、Javaドキュメントの作成を行ってくれたり、セキュリティ上の問題のスキャンしてくれたりするそうです。実行も簡単で、Amazon Q Developerに対して文章で要望を伝えるだけで済むとのことです。
所感
業務の様々な場面で生成AIが活躍する機会が増えていますが、モダナイゼーションも例外ではなく、生成AIを活用して素早く、正確にモダナイゼーションを行うことが求められる時代に突入したのでは、と思いました。
このセッションで個人的に印象に残っていることは、過去にレガシーコードが引き起こした悲惨な出来事の事例が2つ紹介されていたことです。1つは、わずか45分間で4億4000万ドルもの損失を出した金融システムのトラブル、もう1つは単位系の定義が違っていたことで火星探査機が破壊されてしまった事故についてです。どちらも有名な事故らしいのですが、私は知らなかったのでこの話を聞いたときに驚いたのと同時に、「明日は我が身」と気を引き締める必要がありそうだと思いました。
▲実際に起きた事故について言及している場面です。もし当事者だったらと思うと…
ちなみに、本セッションの動画はYouTubeで見ることができます。詳細が気になる方はセッションのタイトル「DEV303 – Accelerate app migration: From legacy to production」で検索して、是非視聴してみてください。