DX動向2024より読み解く、日本のDXの現状とこれからの展望②~DX推進に向けたレガシーシステム刷新と人材戦略~
第二章 レガシーシステム刷新の現状と課題
はじめに
こんにちは!システムズのマーケティングチームです。
第一章ではDXの取組状況と課題について取り上げました。
DX動向2024ではDX推進の手段として、データの利活用や生成AIの導入、システム内製化、レガシーシステム刷新などが挙げられています。
第二章ではレガシーシステム(本章では、老朽化した既存 ITシステムのことを指す)とシステム内製化に焦点を当て企業の現況や課題、関連性について考察しました。
レガシーシステム刷新の現状
下図の2022年度日本と2023年度日本の比較をすると、レガシーシステムは減少しており刷新の取組が進んでいることが伺えます。
ここで「DX取組あり」と「DX取組なし」の2つのグラフを見比べると刷新の状況に大きな差があります。また、「DX取組なし」で約3割が「分からない」と回答しており、レガシーシステムの有無が把握できていないことも課題であると捉えました。
弊社では、IT総合診断というシステムの全体像の整理から各システムの中を解析するサービスを展開しております。ここ近年、ご相談をいただくことが増えていると実感しています。DX推進のために、まずは現行システムの整理・把握をしたいというご要望が増えつつありますが、こういうところにもどこから手をつけて良いのか分からないという想いが、あらわれているものと想像しております。
レガシーシステムの状況(経年変化およびDX取組状況別)
(出典:IPA DX動向2024)
また、業界別でレガシーシステムの状況を表した図では、「情報通信業」を除く業界では、約半数の企業にまだまだレガシーシステムが存在していることが分かります。
レガシーシステムの状況(業種別)
(出典:IPA DX動向2024)
レガシーシステム刷新の課題
下図において、日本は「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」「レガシーシステム刷新に長けたプロジェクトリーダーがいない」と回答した割合が多く見られました。
2022年度と2023年度の日本の回答で母数(n)は各年度によって異なりますが「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」と回答した割合は2022年から2023年にかけて増加しています。
第一章のDX推進の取組状況からも2023年は2022年よりもDXを推進している傾向にあり、経営者への理解も進んでいるのではないかと予測されます。DXの必要性は理解していながら、取り組むための人員配置が困難であることから、DX推進やレガシーシステム刷新において大きな課題となっているのではないでしょうか。
レガシーシステム刷新の課題(経年変化および米国との比較)
(出典:IPA DX動向2024)
レガシーシステム刷新の課題は、システムの内製化にも密接な関係があると考えられます。 内製化の状況においては、従業員規模が1000人以下の企業では「内製化を進めている」と回答した割合が1001人以上の企業の半分以下で、自社内で要員確保が難しく外部の力を活用している現状です。
システム開発の内製化(従業員規模別)
(出典:IPA DX動向2024)
また、内製化を進めている企業を対象に内製化の課題として企業の87%が回答したのは、人材確保と育成の難しさです。先ほど挙げた、内製化とレガシーシステム刷新における課題との共通点があると考えられるのではないでしょうか。
内製化を進めるにあたっての課題
(出典:IPA DX動向2024)
経済産業省が2018年に公開したDXレポートでは、約7割の企業がレガシーシステムを使い続けることがDX推進の足かせになると感じていると記載されていました。企業の情報システム部門では、レガシーシステムを使う現場の要望の改修に多くの時間が割かれ、内製化やDX推進に着手できない現状があるのではないでしょうか。
弊社では、レガシーシステムにお困りの企業様の課題をしっかりとヒアリング・解析し、移行のサポートをさせていただいております。クラウド環境への移行のほかにデータベースや古いシステムで使用しているアプリケーションの移行に強みを持っております。
そのような自社システムでお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
次章の概要
第二章を通してDX推進の要となるのは「人材の確保」であることが分かりました。
第三章では、「DXを推進する人材」について読み解いていきます。
関連リンク
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html