【解説】貨客混載とは?仕組みと導入時のメリット・デメリット
物流業界では、2024年問題などトラックドライバーの人手不足や環境負荷の低減の必要性など多くの課題があります。本記事では、物流の一種である「貨客混載」について仕組みとメリット・デメリットを解説します。
はじめに
こんにちは。ロジきむです。
本記事は物流の一種である貨客混載について紹介する記事です。
物流業界では2024年問題(※)で生じるトラックドライバーの人手不足への対策の一つとして改めて注目されています。
※ トラックドライバーの時間外労働に上限時間が設けられることで、輸送能力の不足が懸念される問題。
貨客混載とは
今回は貨客混載について紹介します。
貨客混載とは、乗客と荷物を同時に運ぶことを言います。
2017年、国土交通省は従来の規制を緩和し、
旅客自動車運送事業者と貨物自動車運送事業者の許可をそれぞれ取得した場合には、乗合バスについては全国で、貸切バス、タクシー、トラックについては 過疎地域において、一定の条件のもとで貨客混載を行うことができるよう措置を講じました。
その後、地域におけるニーズが確認できたことから、2023年には貸切バス、タクシー、トラックについても全国で実施可能とし、
貨客混載の取り組みが各地で進められています。
また、電車や新幹線を利用した貨客混載の取り組みも行われています。
【貨客混載を導入していない場合の輸送例】
【貨客混載(乗合バス)を導入した場合の輸送例】
メリット
貨客混載のメリットとしては、
・トラックドライバーの負担軽減
・環境負荷低減
・輸送の効率化
・コストの削減
などが挙げられます。
【トラックドライバーの負担軽減】
トラックドライバーが担当していた区間の全てまたは一部を他の交通手段で代替することで、
長時間となっていたトラックドライバーの拘束時間が減少します。
また、労働環境が改善されたり、短時間労働が可能になったりすることで、トラックドライバーの雇用促進につながります。
【環境負荷低減】
トラックで運行していた区間の一部を公共交通機関で代替した場合、CO2排出量の低減につながり、
交通渋滞の緩和にも貢献します。
【輸送の効率化】
トラックドライバーが担当していた区間の全てまたは一部を他の交通手段で代替することで、
トラックの輸送ルートを見直し、効率化したり、輸送にかかる時間を短縮したりすることができます。
【コストの削減】
公共交通機関の空きスペースを活用することで、人件費やガソリン代が削減されるため、トラックで輸送するよりもコストを削減できる可能性があります。
上記以外にも、貨客混載を行うことで、公共交通機関やタクシー業者の収入が増加し、交通手段を存続させることができるため、
住民の生活基盤の維持にもつながるというメリットがあります。
デメリット
貨客混載のデメリットとしては、
・リードタイムの増加
・突発的な対応が難しい
・関係する企業、人員の増加
などが挙げられます。
【リードタイムの増加】
トラック単体での輸送から複数の交通手段を使用する輸送に転換した場合、積替えのための荷役が発生し、リードタイムが長くなる可能性があります。
また、鉄道やバスのダイヤに都合の良い時刻がない場合、余分に時間がかかってしまうこともあります。
【突発的な対応が難しい】
バスやタクシーはトラックよりも荷物を置くスペースが小さいため、荷物量が増加した場合、対応できない可能性があります。
また、時間指定の荷物や急ぎの荷物は、鉄道やバスのダイヤに都合の良い時刻がない場合、別で輸送しなければならなくなってしまいます。
【関係する企業、人員の増加】
1人で行っていた輸送を複数の交通手段を使用する輸送に転換した場合、輸送に関わる企業、人員が増加してしまいます。
その他、貨客混載は荷物の特徴や交通条件により向き不向きもあるため、事前に精査する必要があるでしょう。
おわりに
今回は貨客混載について紹介しました。
貨客混載を行うにはメリット、デメリットの検証が必要になりますが、
ドライバー不足の対策や地域の交通手段の存続のため、多くの自治体や企業が連携して進めており、今後も増えていくと思われます。
2024年問題対策については過去の記事でも紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
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