【解説】モーダルシフトとは?仕組みと導入時のメリット・デメリット
物流業界では、2024年問題などトラックドライバーの人手不足や環境負荷の低減の必要性など多くの課題があります。本記事では、物流の一種である「モーダルシフト」について仕組みとメリット・デメリットを解説します。
はじめに
こんにちは。ロジきむです。
本記事は物流の一種であるモーダルシフトについて紹介する記事です。
物流業界では2024年問題(※)で生じるトラックドライバーの人手不足への対策の一つとして改めて注目されています。
※ トラックドライバーの時間外労働に上限時間が設けられることで、輸送能力の不足が懸念される問題。
モーダルシフトとは
今回はモーダルシフトについて紹介します。
モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することです。
長距離の幹線区間を鉄道や船舶で輸送し、短距離の幹線区間以外をトラックで輸送する方法が一般的です。
鉄道と船舶のそれぞれについて、どのように貨物輸送を行うのか、下記で紹介します。
鉄道
鉄道貨物輸送は、鉄道コンテナ輸送と車扱輸送の2つに大別されます。現在は鉄道コンテナ輸送が主力になっており、モーダルシフトでの利用が期待されています。
・鉄道コンテナ輸送
コンテナに荷物を積み入れ、コンテナを積載した貨車を列車でけん引して輸送する形態です。
発荷主の戸口から着荷主の戸口まで、コンテナ内の荷物を積み替えることなく一貫して輸送します。
【モーダルシフト(鉄道コンテナ輸送)を導入した場合の輸送例】
船舶
船舶での輸送は、輸送形態によって使用する船舶が異なり、RORO船、フェリー、コンテナ船の3つがモーダルシフトの利用が期待されています。
・RORO船
トラックやシャーシを輸送する貨物船のことを指します。
荷物を積んだトラックやトレーラーが自走して乗り込むことで荷役を行います。
・フェリー
荷役方法はRORO船と同じですが、トラックやトレーラー以外に一般旅客や乗用車を運搬する旅客船のことを指します。
【モーダルシフト(RORO船/フェリー)を導入した場合の輸送例】
・コンテナ船
コンテナを輸送する貨物船のことを指します。
コンテナに荷物を積み入れ、コンテナを港の設備を利用して船舶に積むことで荷役を行います。
【モーダルシフト(コンテナ船)を導入した場合の輸送例】
メリット
モーダルシフトのメリットとしては、
・トラックドライバーの負担軽減
・環境負荷低減
・輸送の効率化
などが挙げられます。
【トラックドライバーの負担軽減】
船舶にトラックドライバーが乗船し、休息をとったり、港までの輸送と港からの輸送を複数人のトラックドライバーで分担したりすることで、
長時間となっていたトラックドライバーの拘束時間が減少します。
また、労働環境が改善されたり、短時間労働が可能になったりすることで、トラックドライバーの雇用促進につながります。
【環境負荷低減】
鉄道や船舶は、自動車に比べて輸送量当たりのCO2排出量が低いため、CO2排出量の削減につながり、
交通渋滞の緩和にも貢献します。
【輸送の効率化】
自動車で輸送する場合は往復が必要ですが、鉄道や船舶で荷物だけを運ぶ場合は片道のみの利用が可能であるため、
輸送を効率的に行うことができます。
デメリット
モーダルシフトのデメリットとしては、
・コストの増加
・リードタイムの増加
などが挙げられます。
【コストの増加】
鉄道や船舶は、輸送距離が長くなるほど運搬にかかる費用が割安になるため、
輸送距離が長ければコストの削減になる一方、短距離だと割高になってしまいます。
【リードタイムの増加】
駅や港で荷役を行う時間が発生したり、船舶の場合は自動車より速度が遅かったりすることで、リードタイムが長くなる可能性があります。
鉄道や船舶のダイヤに都合の良い時刻がない場合、余分に時間がかかってしまうこともあります。
モーダルシフトを導入する際は、上記のようなデメリットがどの程度発生するのか、どの程度許容できるのかを事前に精査する必要があるでしょう。
おわりに
今回はモーダルシフトについて紹介しました。
モーダルシフトを行うにはメリット、デメリットの検証が必要になりますが、
国土交通省によってモーダルシフトの推進が行われており、モーダルシフトが実施しやすい環境が整えられていくと思われます。
2024年問題対策については過去の記事でも紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
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