コラム「現場とIT」ベトナムの躍進

アジア各国の中で、急速な成長を遂げているベトナム。今回は、ベトナムの首都、ハノイへ3年ぶりに視察に行きましたので、そのお話をしたいと思います。

はじめに

アジア各国の中で、急速な成長を遂げているベトナム。みなさんは、ベトナムと言えば、何を連想するでしょうか?IT関連ですとオフショア開発、ラボ型開発などを思いつかれる方も多いでしょう。

先日、ベトナムの首都ハノイへ3年ぶりに現地視察に伺いましたので、そのときのトピックをお話しします。

世界各国から注目を集めるベトナム

3年前に訪問した時は、市内中心部の繁華街は韓国、中国をはじめとしたアジア系の人たちでごった返していた印象だったのですが、今回はアジア系だけでなく中東、欧州、南米などの人たちも多く見かけ、ベトナムが世界各国から注目を集めているという印象を目の当たりにしました。

以前に比べてバイクの数も非常に多く、街中にクラクションの音が響きわたり渋滞は大変なことになっていました。

ITビジネスの世界においても、ユニコーン※と呼ばれる企業がベトナム国内で複数立ち上がってるという話や、Web3のイベントなどもアジアの中心的存在としてベトナムで頻繁に開催されているという話もあり、日本をはじめとしたITのオフショア先としてベトナムだけではなくベトナム国内そのものを市場ターゲットとしたITビジネスも進んでいると感じました。

※評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業

大きく発展してきた3年間

以前の訪問時の印象と比較して、経済、IT、人的交流などさまざまな点で発展・拡大を遂げているのを実感したのですが、今回のベトナム訪問過程でJETROベトナムにお邪魔した際にその背景、理由を掴むことができました。

2021年ごろまでは、東南アジアでの最も成長が期待される国としてベトナムとミャンマーが注目を集め、世界各国からの投資の流れも2国で二分していました。その後2021年のミャンマーにおける軍事クーデターを契機としてミャンマーへの投資が一気に縮小、その反動で一気に投資がベトナムに集中したとのことです。その投資マネーがユニコーン企業を作り、経済を大きく押し上げ、世界各国の人が集まるという形になったようです。

2021年11月にベトナム初の都市鉄道の開業を皮切りに、2023年以降にホーチミン市地下鉄の開業が予定されています。所得水準の増加に伴って、自転車からバイク、バイクからバスや電車、と発展を遂げる経済の歴史を踏まえると、ベトナムはこれから新たなフェーズに入るのではと感じました。

オフショア先としてのベトナム

長い間、ITオフショア開発といえば中国が代名詞でした。しかし近年では、中国のエンジニア人件費は高騰しており、ベトナムがその次として注目されています。

ベトナムは現時点では、まだ中国の都市部と比較しても所得水準は低いこともありオフショアを活用するメリットはありますが、先に述べたようなベトナムへの各国からの投資の集中や、経済発展のスピードを考えると、数年後には人件費も高騰してくることでしょう。もしかすると5年後には中国と同じように相当高くなっていくのではないでしょうか。

もうベトナムの次を考えなければいけない時代に来ているのかもしれません。