【解説】物流倉庫業務②(入荷検品・出荷検品)

物流倉庫では、商品を生産者から消費者へ届けるために、様々な業務が行われています。 最近では、労働力不足やEC市場の拡大を背景に、デジタル化や標準化など業務改善が急務です。 複数回にわたり、物流倉庫で行われる業務と改善点を紹介していきます。

はじめに

本記事は、物流倉庫で行われる業務とその改善点について紹介するシリーズ記事の第2回です。

過去の記事はこちら
【説明】物流倉庫業務①(入荷・出荷)

物流倉庫業務紹介

今回は、物流倉庫で行われる業務のなかから「検品」について取り上げます。
「検品」には、倉庫に荷物が入荷した後に行う「入荷検品」と倉庫から荷物を出荷する前に行う「出荷検品」があり、本記事では両者について紹介します。

入荷検品・出荷検品について

まずは、入荷検品と出荷検品の業務内容について紹介します。
本記事で紹介する業務内容はあくまで一例です。

入荷検品とは

入荷検品とは、入荷した商品の品番・数量などが納品書または発注書と一致しているか照合することを指します。
同時に、商品に破損や汚れがないかの確認も行います。
ハンディターミナルを使い、ダンボールや商品の外装に貼られたバーコードを読み取って検品することが多いです。

出荷検品とは

出荷検品とは、ピッキングした商品の品番・数量などがピッキングリストまたはオーダーと一致しているか照合することを指します。
同時に、商品に破損や汚れがないかの確認も行います。
ピッキングにはいくつかの方式があり、その方式や使用するマテハン機器によって検品の方法は異なります。
例えば、ハンディターミナルでバーコードを読み取ったり、ピッキングカートの重量を測定したりという方法で検品が行われています。

ピッキング方式と使用するマテハン機器については、下記の記事で詳しく紹介しています。
【説明】物流マテハン機器紹介②(補充・ピッキング・出荷検品)
また、ピッキング方式の詳しい説明と各方式のメリット・デメリットについては、今後の本シリーズでも紹介する予定です。

検品の目的

検品は手間がかかりますが、とても重要な業務です。
入荷検品と出荷検品のそれぞれがどのような目的で行われているのかについて紹介します。

入荷検品の目的は、納品の手違いによる欠品を防止することです。
入荷検品を行わなかった場合、不良品を入荷したことや入荷数が注文数より少なかったことが受注した後で判明し、欠品による配送遅延が発生してしまいます。
このような状況を防ぐため、注文通りの商品が正しく納品されているか、入荷前に確認を行います。

出荷検品の目的は、誤出荷や不良品の出荷を防止することです。
出荷検品を行わなかった場合、注文した商品と届いた商品が違ったり、届いた商品に不備があったりするリスクが高くなります。
こうしたリスクを軽減するため、注文された商品が正しくピッキングされているか、出荷前に確認を行います。

入荷と出荷のどちらにおいても、検品は、商品とサービスの品質を維持し、取引先やお客様先からの信頼を保つことにつながります。

業務の改善点

続いて、入荷検品・出荷検品の省人化や効率化を行うための改善例を3点紹介します。

OCRを活用した検品

バーコードが貼られていても、賞味期限など必要な情報がバーコード化されていない商品は目視で検品する必要があります。
そのような場合は、OCR機能を持ったハンディターミナルや携帯端末で商品の文字情報を読み取ることで、検品を効率化することができます。
OCRとは、印刷された文字や手書きの文字を読み取り、コンピュータが利用できるテキストに変換する技術のことです。
OCR機能を活用した検品には、下記のメリットがあります。

メリット
 1.バーコードが保有していない情報の照合が行えること
 2.商品の文字列と伝票の照合が自動で行えるため、人的ミスが防止できること
 3.システムと連携させることで、読み取った文字をラベルや商品マスタに自動で入力できること

仕入れ先の都合でバーコードがない商品の入荷検品やバーコードの貼り付けが行えない商品の出荷検品に対しても効果的です。

画像撮影による検品

バーコードのない商品の検品には、上記以外に画像撮影を利用した検品もあります。
出荷時にバーコードのない商品を検品する場合、ピッキングした商品を台に置き、カメラで商品を上から撮影します。
撮影した画像とあらかじめ設定した画像をシステムが照合し、商品の品目と数量を特定します。 このような画像撮影による検品には、下記のメリットがあります。

メリット
 1.バーコードがない商品の照合が行えること
 2.商品と伝票の照合が自動で行えるため、人的ミスが防止できること
 3.撮影した画像を保存しておくことで、後から撮影画像を確認したり、出荷した商品の保証に使用したりできること

RFIDを活用した検品

RFIDとは、互いに発する電波を利用して、専用のリーダーからRFタグにデータの読み書きを行う技術のことです。
作業者が専用のリーダーを使用したり、コンベヤ上に専用のリーダーを設置したりすることで、商品に付けたRFタグを読み取り、検品を行います。
RFIDを使用した検品には、バーコードやQRコードにはないメリットがあります。

メリット
 1.RFタグが付いた商品が袋やダンボールに梱包されたままでも読み取りが可能なため、開梱の手間が削減できること
 2.複数のRFタグを一括で読み取ることが可能なため、検品の省人化と省力化が見込めること
 3.RFタグとリーダーの距離が離れていても読み取れるため、高いところや遠くの商品を移動させる手間が削減できること
 4.RFタグに汚れがあったり、テープが貼られていたりしても、問題なく読み取れるため、作業環境を問わずに使用できること

おわりに

本記事で紹介したのは入荷検品・出荷検品の業務の最適化の一例です。
検品方法は商品の特徴により多様化しているため、そのなかから最適な改善策はどれかを検討することが重要です。
システムズは、長きにわたり物流業務に携わってきた経験を元に、お客様の現場へ伺い、今直面されている運用課題に対する解決策をご提案いたします。
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