クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第2回 】
需要が高まっているクラウドサービス。本連載では、「国内外のクラウドベンダーの特徴や強み」や、「オンプレとの比較や懸念」、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドにおける特徴や構築例・懸念事項」など連載していきます。
需要が高まっているクラウドサービス。本連載では、クラウドの利点を徹底的に活用するクラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢と銘打って、「国内外のクラウドベンダーの特徴や強み」や、「オンプレとの比較や懸念」、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドにおける特徴や構築例・懸念事項」など、計6回に渡り連載します。
第2回目は「国産クラウドベンダーの特徴や強み等について」について説明します。
第2回 国産クラウドベンダーの特徴や強み等について
基幹システムでクラウドを利用する場合は、主にセキュリティの観点からサーバ設置国のカントリーリスクを考慮することが多くみられます。万が一の問題発生時に自分のデータがどこにあって、どのような接続構成でインターネットに接続されているかなどが問題解決に必要となる場合があります。特に基幹システムや高セキュリティが求められるデータを扱う場合は、日本国内サーバの利用保証をクラウド事業者に求める利用者も多くなっています。
海外の大手クラウドベンダーは、リージョンとして日本国内サーバ利用保証に対応している場合もありますが、国内クラウドベンダーの強みは、日本国内設置のサーバ利用と日本語での保守対応が要件となるシステム構築に利があります。
国産クラウドベンダーの概要
代表的な国産クラウドベンダーとしては以下が有名です。
IIJ GIO | Smart Data Platform | |
提供元 | インターネットイニシアティブ(IIJ) | NTTコミュニケーションズ(NTTcom) |
概要 | 2009年に国内でサービスを開始した老舗のクラウドサービス。IIJ内の他サービスとの連携やネットワーク回線業者としての強みを生かした外部連携時のネットワーク接続部分も含めた一気通貫でのシステム構成が可能 | 2019年に開始したデータ利活用に必要な収集・蓄積・管理分析におけるすべての機能を、インフラも含めてワンストップで提供できるサービス。企業内のDX実現を推進し各種課題の解決を主眼に置いているのが特徴 |
料金体系 | リソースプールを購入して自由なサイズの仮想サーバを作成可能 | 既定スペックの仮想サーバインスタンスを選択。 従量課金選択時は1分単位で課金可能 |
IIJ GIOの特徴や強み
IIJ GIOの特徴としては仮想基盤にはVMwareを採用し、オンプレミス環境の設計思想や運用体制をそのまま持ち込むことでオンプレミスのVMware環境を容易にクラウドに移行することが可能となっています。
また2021年10月に発表された新サービス「IIJ GIO P2 Gen.2」は一般的なクラウドサービスのような「サーバ単位」ではなく、「リソースプール」から「1vCPU/4GBメモリ/10GBディスク」という単位で契約が可能なため、スモールスタートかつ柔軟性を備えたシステムを構成することが可能です。ホステッド・プライベートクラウドでありながら、VMwareハイパーバイザーの管理はIIJ側で行われるため、お客様側で vSphereバージョンアップ対応などが不要となり、運用負荷を大幅に軽減できます。
ファイルサーバやActive Directory、データベースなど、企業のIT環境に必要なコンポーネントを備えた各種マネージドサービスや、他社パブリッククラウドとの閉域接続を提供するネットワークサービスなど、IIJの各種サービスと連携することにより拡張性の高いシステム環境を実現できます。
パブリッククラウドの特性を正しく理解し、クラウドならではのシステムアーキテクチャに移行することはハードルが高い点があるが、その点を考慮しオンプレミスで運用している環境を容易に移行しやすい環境となっています。
オンプレミスからIIJ GIO へリフト後に、ユーザのタイミングでパブリッククラウドにシフトが可能。不要なサーバリソースも 1vCPU単位で削減することでコスト最適化が可能です。
-主な特徴と強み-
- オンプレミスシステムからの移行の容易さ
- プライベートクラウドのような柔軟性とパブリッククラウドのような課金体系、運用の手軽さ
- マネージド型AD、ファイルサーバやパブリッククラウドへの拡張性
SDPF(Smart Data Platform)の特徴や強み
SDPFの特徴としては企業のDX実現を目的としてシステム間のシームレスな接続やデータ連携をGUI画面上で容易に実現、現場のデータ利活用を促進といった点を強化しているサービスであることが挙げられます。
オンプレミス環境に加え、TIBCO社やInfomatica社などのソリューションと連携し、散在しているデータを統合・管理を容易にするデータインテグレーションの仕組みを提供し、AIを活用した分析やモデル生成を行いBI/BAツールや簡易な分析ツールでの見える化を容易にできる仕組みが用意されています。
個人情報の匿名加工に対応したデータ連携の仕組みも提供しており各種パブリッククラウドとセキュアにデータ流通させることが可能です。パブリッククラウドの先進的な機械学習機能などを活用し、安全にデータ分析を行うことができます。
-主な特徴と強み-
- 多様な環境に点在するデータの統合・連携が可能
- スピーディなデータ分析・利活用が可能
- ワンストップでの必要機能の開始が可能
次回は「オンプレミスとの比較や懸念事項」について解説します。
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第1回 】
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第3回 】
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第4回 】