ノーコード・ローコード開発ツールの落とし穴

専門的知識が少なくても、ノーコード・ローコード開発ツールがあれば、簡単にシステムを構築できます。とてもメリットがありますが、メリットだけ見てると、将来、大きな落とし穴に落ちるかもしれません。ノーコード・ローコード開発ツールについて、システムズの視点でお伝えします。

はじめに

専門的知識が少なくても、ノーコード・ローコード開発ツールがあれば、簡単にシステムを構築できますので、DXが求められる現代では、必須ツールのよう言われています。

とてもメリットがあるように言われていますが、メリットだけ見てると、将来、大きな落とし穴に落ちるかもしれません。

今回は、ノーコード・ローコード開発ツールについて、約30年マイグレーションビジネスを手掛けてきたシステムズの視点でお伝えします。

ノーコードとは

ノーコードは、プログラミングに関する専門知識が不要で開発を行うことが可能になる開発手法です。

ソースコードのコーディングを行いませんので、技術者でなくても簡単にシステムを開発できます。

テンプレートなども用意されており、比較的小規模や、単純な機能のアプリケーションの開発に向いていると言えます。

ローコードとは

ローコードは、通常のプログラム開発と比べて、ソースコードのコーディングはあまり必要とせず、大幅に少ないプログラムコードで開発ができるという開発手法です。

利用できる機能は限定的であることが多いですが、再利用可能な機能構造を利用することで、高い拡張性を確保することができます。

メリット / デメリット

一見、どちらもメリットしかないように思えますが、どうなのでしょうか?

約30年前には、「Q言語」や、「Easytrieve」などの簡易言語が普及した時期もありました。

レポート出力や、データの抽出などを、CCOBOLで開発するよりも、簡単に作成でき、生産性も高く、しっかりした仕様書も不要でしたので、ITスキルの低い人材でも容易に開発できました。

しかし、簡易言語を提供していたメーカーがサポートを中止や、サポートが版権をもっている会社でも、詳しいことをわかる人はいなくなりました。

そのため、様々な部署で作られた簡易言語のシステムや、仕様書不在のシステムなどが再構築を余儀なくされているという現状を生み出しています。

さらに、簡易言語ではありませんが、柔軟なカスタマイズで可能ということで、多くの企業に導入されたNotesで作られたシステムも、移行できずに困っている企業のご相談も多いです。

まとめ

2025年の崖に向けて、デジタルシフトを進める上でノーコード・ローコード開発プラットフォームが脚光を浴び、多くの企業が使い始めていますが、果たして10年後、20年後、30年後はどうなるのでしょうか?

時代の流れとともに、歴史は繰り返えされます。

ノーコード・ローコード開発ツールを全否定しているわけではありませんが、デメリットもわかった上で、必要に応じて利用するのが良いのでは無いでしょうか?

ノーコードは、プラットフォームを提供する会社に影響されます。

あらかじめ用意された機能が前提になりますので、拡張性は高くはありません。

ローコードは、開発ツールの機能の制約や、ツール自体を習熟しておくことが必須になります。

数十年後に、わかる人がいなくなることや、対応できる会社がなくなるという可能性は否めません。

どんな最新のシステムも、いずれは古くなります。

これらのことを考慮して、システムの移行が想定されることを前提に『データのポータビリティ性の確保』が重要になると思います。

その上で、データ仕様を把握し、新たな仕組みでも、既存のデータを活用できる環境であることは、最低限確保する必要があると思います。

2025年の崖は、もう目の前です。

目先のメリットだけでなく、将来のデメリットやリスクも考慮して、DXをすすめていきたいですね。