【解説】物流倉庫業務⑤(仕分け・流通加工・梱包)

物流倉庫では、商品を生産者から消費者へ届けるために、様々な業務が行われています。 最近では、労働力不足やEC市場の拡大を背景に、デジタル化や標準化など業務改善が急務です。 複数回にわたり、物流倉庫で行われる業務と改善点を紹介していきます。

はじめに

本記事は物流倉庫業務とその改善点を紹介するシリーズ記事の第5回です。
物流倉庫業務を紹介するシリーズは今回で最終回です。

過去の記事はこちら
【説明】物流倉庫業務①(入荷・出荷)
【説明】物流倉庫業務②(入荷検品・出荷検品)
【説明】物流倉庫業務③(棚入れ・補充)
【説明】物流倉庫業務④(ピッキング)

物流倉庫業務紹介

今回は、物流倉庫で行われる業務のなかから、「仕分け」「流通加工」「梱包」の3つについて紹介します。
本記事で紹介する業務内容はあくまで一例です。

仕分けについて

1つ目に、仕分けの業務内容について紹介します。

仕分けとは

仕分けとは、決められたルールに従って、商品を分類する作業のことです。
仕分けを行うことで、次に行う業務をスムーズに進めることができます。
仕分け先が多い場合は、一次仕分け→二次仕分けのように複数段階に分けて仕分けを行います。

仕分けは、仕分け作業を行うタイミングによって「入荷仕分け」と「出荷仕分け」に分類されます。

・入荷仕分け
 入荷仕分けは、入荷した商品を入庫する前に行います。
 品種別・入庫先の棚別などのルールに沿って仕分けます。

・出荷仕分け
 出荷仕分けは、ピッキングによって倉庫から出庫した商品を出荷する前に行います。
 方面別・出荷先別・配送業者別などのルールに沿って仕分けます。

物流センターの種類と仕分けについて

仕分けの方法は、物流センターの種類によって異なります。
ここでは、2種類の物流センターとそれぞれの物流センターでどのように仕分けが行われているのかについて紹介します。

・TC(通過型センター)
 TCは「Transfer Center」の略称で、商品を保管しないで、入荷してからすぐに出荷を行う物流センターです。
 例としては、コンビニチェーンの倉庫で、メーカーから持ち込まれた商品を各店舗行きのトラックに仕分けて配送する物流センターが挙げられます。
 TCでは、入荷仕分け・出荷仕分けという分類はなく、入荷した商品を方面別・出荷先別に仕分けます。

・DC(在庫型センター)
 DCは「Distribution Center」の略称で、入荷した荷物を在庫として保管し、必要に応じて出荷を行う物流センターです。
 例としては、メーカーの在庫を保管する倉庫が挙げられます。
 DCでは、入荷仕分けと出荷仕分けの両方が行われています。

流通加工について

2つ目に、流通加工の業務内容について紹介します。

流通加工とは

流通加工とは、倉庫や物流センターで行われる商品を加工する業務のことです。
具体的には、検針、タグ付け、詰め合わせ、ラッピング、チラシの封入、シール貼り、袋詰めなどを行います。
流通加工を倉庫や物流センターで行うことで、工場や出荷先の小売店で加工する時間・手間を省くことができるというメリットがあります。

PDCで行われる流通加工

PDC(流通加工・在庫型センター)とは、「仕分けについて」で紹介したTC・DCと同じく、物流センターの一種です。
PDCは「Process Distribution Center」の略称で、高度な加工を行うことができる物流センターのことを言います。
具体的には、部品からPCを組み立てたり、鮮魚や精肉をスーパーで販売する商品に加工したりなど、専用の機器や設備が必要な加工を行います。

梱包について

3つ目に、梱包の業務内容について紹介します。

梱包とは

梱包とは、出荷検品が完了した商品をダンボール、紙袋、ビニール袋などに詰めることを言います。
梱包材の種類やサイズは、お客様の要望や商品の形態・大きさに応じて決定し、
商品によっては緩衝材で包んだり、輸送中に動かないようにエアークッションなどの梱包材を入れたりします。
梱包が完了したら、送り先や商品の分類を記載した出荷ラベルを印字し、貼り付けます。

梱包の目的

梱包には、大きく分けて2つの目的があります。

①商品の品質を守ること
  梱包は、温度や湿度の変化・光や塵・商品を運ぶ際の衝撃などから商品を保護します。
②商品の取り扱いを容易にすること
  梱包は、形・サイズがバラバラな商品を一定の形・サイズに揃えるため、商品を積み重ねたり、持ち運んだりすることを容易にします。

業務の改善点

続いて、仕分け・梱包を省人化や効率化するための改善例を2点紹介します。

入荷仕分けにソーターとシステムを使用する

ソーターと仕分け先を指示するシステムを連携して入荷仕分けを行うことで、入荷仕分けを効率化することができます。
入荷した商品をコンベヤに投入し、システムで商品のバーコードと入荷データを照らし合わせて検品要否や搬送先を決定し、ソーターで仕分けを行います。
例えば、倉庫の空いている間口の数と入荷した商品の数を比較して搬送先の倉庫を決定したり、XD(※1)を行う商品は搬送先を出荷ソーターに指定したりします。

※1 XD:入荷後、在庫として保管せずに出荷すること
      「X(Cross) Docking」の略称

搬送先が同じ商品をまとめて梱包する

一般的に商品の送料は荷姿のサイズによって決まるため、搬送先が同じ商品はまとめて梱包することで送料を抑えることができます。
まとめて梱包する方法として、バラ(※1)とケース(※2)をまとめてひとつのダンボールに入れたり、ケースのなかに別のケースを入れたりする方法があります。
さらに、システムに商品と梱包資材の才数(※3)を登録し、どの商品を何個までまとめるかなどの判断を自動化すると、梱包を効率化しつつ送料を抑えることができます。
そのほか、同じ大きさのケース商品は結束(※4)することで、仕分けの手間を削減したり、運搬を容易にしたりすることができます。

 ※1 バラ:ひとつの商品の最小単位
 ※2 ケース:ボール(バラをまとめたもの)をさらにまとめたもの
 ※3 才数:容積を表す単位のひとつ
 ※4 結束:複数の商品を、ひも、ワイヤ、テープ、バンド等でまとめてしばること

おわりに

本記事で紹介したのは仕分け・流通加工・梱包の業務の一例であり、現場では、扱っている商品や導入しているマテハン機器などに応じた多様な方法で実施されています。
システムズは、長きにわたり物流業務に携わってきた経験を元に、お客様の現場へ伺い、今直面されている運用課題に対する解決策をご提案いたします。
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