【解説】物流倉庫業務①(入荷・出荷)
物流倉庫では、商品を生産者から消費者へ届けるために、様々な業務が行われています。 最近では、労働力不足やEC市場の拡大を背景に、デジタル化や標準化など業務改善が急務です。 複数回にわたり、物流倉庫で行われる業務と改善点を紹介していきます。
はじめに
物流倉庫では、商品を生産者から消費者へ届けるために、様々な業務が行われています。 今日の物流倉庫においては、労働力不足やEC市場の拡大を背景に、デジタル化や標準化など業務の改善が求められています。 本記事より複数回にわたり、物流倉庫で行われる業務とその改善点について紹介していきます。
物流倉庫業務紹介
今回は、物流倉庫で行われる業務のなかから、倉庫に荷物が到着するまでを担う「入荷」と倉庫から荷物が出ていくところを担う「出荷」を紹介します。
入荷・出荷について
まずは、入荷と出荷の業務内容について説明します。
本記事で紹介する業務内容はあくまで一例です。
入荷とは
入荷とは、仕入れ先から商品を受け取ることを指します。 物流倉庫では、仕入れ先からの荷物を載せたトラックから荷降ろしを行うことで、入荷を実施します。
入荷した際に荷物がパレットに積み付けられている場合は、トラックからパレットごと降ろし、そのあとでパレットから荷物を降ろします。 このようなパレットから荷物を積み下ろす作業をデパレタイズと言います。
出荷とは
出荷とは、お客様先へ商品を届けるために、商品を配送業者へ引き渡すことを指します。 物流倉庫では、出荷指示を受けてピッキングや梱包を行った荷物をトラックへ積み込むことで、出荷を実施します。
多くの物流倉庫は、出荷作業をスムーズに行うために、出荷前に荷物をパレットに積み付ける作業を行っています。 このようなパレットに荷物を積み付ける作業をパレタイズと言います。
業務の改善点
続いて、入荷・出荷の省人化や効率化を行うための改善例を3点紹介します。
ASNの導入
入荷を効率化したい場合、ASNの導入が有効です。 ASN(※1)とは、「事前出荷情報」と呼ばれ、仕入れ先が物流倉庫への入庫前にあらかじめ送信する出荷情報のことを言います。 物流倉庫側から見て「入荷予定データ」と呼ばれることもあります。 ASNを導入すると、事前に入荷する商品を把握できるため、下記のメリットがあります。
メリット
1.作業者やマテハン機器の準備が行えること
2.入庫前の商品を在庫としてカウントし、引当が行えること
※1 ASN:Advanced Shipping Noticeの略。
ASNの導入が特に効果的なのはXD(※2)を行う場合で、ASNの導入によって入荷から出荷までの業務が効率化できる。
TC(※3)では、商品の入荷前に引当が行われるため、ASNが有用されている。
※2 XD(クロスドッキング):入荷後に棚入れを行わずに、出庫を行うこと。
※3 TC(通過型センター):商品を保管せず、入荷したら仕分けを行いすぐに出荷する物流倉庫のこと。コンビニエンスストアやスーパーマーケットで利用されることが多い。
伝票の電子化
上記のASNの導入には仕入れ先の協力が不可欠なため、着手が難しい側面があります。 ASNを導入しないで効率化を進めたい場合は、紙の伝票を取り込み、システムを使用して電子化する方法も効果的です。 入荷伝票だけでなく、出荷伝票の電子化も同じメリットが見込めます。
メリット
1.電子化した伝票をシステムと連携させることで、ラベルや商品マスタの作成時に自動入力ができること
2.問い合わせ時に必要な情報の検索が容易になること
3.用紙や印刷、保管場所の費用が削減できること
トラックの倉庫到着時刻の予約
昨今、トラックドライバーの荷待ち時間が大きな問題となっています。 このような問題の解決策として、倉庫への到着時刻の予約システムが有効です。 予約システムは、ドライバーによる物流倉庫への到着時刻の事前予約を可能にするシステムで、 ドライバーと運送業者だけでなく物流倉庫の入庫業務、出庫業務にもメリットをもたらします。
メリット
1.トラック運送事業者による到着時間を見越した運行計画の策定が行えること
2.トラックドライバーの労働時間の短縮を図れること
3.トラックのバース(※4)への誘導にシステムを使用することで、省力化・省人化が見込めること
4.作業者やマテハン機器の準備が行えること
※4 バース:トラックの積み込みや積み下ろしに使用するスペースのこと
おわりに
本記事で紹介したのは入荷・出荷の業務の最適化の一例であり、重要なことはお客様に最適な改善策を検討することです。
システムズは、長きにわたり物流業務に携わってきた経験を元に、お客様の現場へ伺い、今直面されている運用課題に対する解決策をご提案いたします。
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