クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第1回 】
需要が高まっているクラウドサービス。本連載では、「国内外のクラウドベンダーの特徴や強み」や、「オンプレとの比較や懸念」、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドにおける特徴や構築例・懸念事項」など連載していきます。
目次
需要が高まっているクラウドサービス。本連載では、クラウドの利点を徹底的に活用するクラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢と銘打って、「国内外のクラウドベンダーの特徴や強み」や、「オンプレとの比較や懸念」、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドにおける特徴や構築例・懸念事項」など、計6回に渡り連載していきます。
第1回目は「国外のメガクラウドベンダーの特徴や強み」について説明します。
第1回 メガクラウドベンダーの特徴や強み等について
クラウドサービスといっても国内外さまざまベンダーが存在します。どのクラウドサービスを導入すれば良いか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、クラウドベンダーに代表される3大メガクラウドベンダー「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」「Google Cloud™(Google Cloud)」「Microsoft Azure(Azure)」の特徴や強みについて整理しましょう。
クラウドサービスとは
これまでのような物理的にサーバを購入し運用する場合は、ハードウェアの購入・構築や構築後の運用/保守が必要となり場所もコストもかかってしまいます。一方クラウドサービスの場合は、インターネットを使いクラウド上でコンピューティング・データベース・ストレージ・アプリケーションをはじめとしたさまざまなITリソースが利用できる仕組みです。クラウドサービスを利用することで、ハードウェアの購入費用や、運用・保守にかかる人件費などのコスト削減が可能です。
3大メガクラウドベンダーの概要
3大メガクラウドベンダーの概要は以下の通りです。
― | AWS | Google Cloud | Azure |
提供元 | Amazon | Microsoft | |
概要 | クラウドサービスの中では歴史が最も古く、シェアトップ(全体の3割を超える)。常に新しいサービスを提供し続けており、様々なクラウドサービスを選択する上での基準となる。 | Google マップなど、Google社の提供するサービス(GmailやGoogle マップ、Youtubeなど)の基盤としても利用されており、信頼のおけるサービスの運用実績が特徴。 | 様々なMicrosoft社製品との親和性があり、オンプレミス環境に存在するActive Directoryとも容易に連携可能でハイブリッドクラウド構成を実現する基盤として最適。 |
料金体系 | 従量課金制 | 従量課金制 | 従量課金制 |
AWS の特徴や強み
AWSの特徴としては、Web開発やアプリケーション開発、ビックデータ分析、AI(機械学習)機能の利用など、幅広いジャンルと豊富なITリソースやWebサービスなどの提供が挙げられます。
また、歴史が長いこと、世界最大のシェアを持つことから利用情報が豊富で、何か困った時は検索すれば比較的簡単に情報が見つかることも特徴の1つではないでしょうか。
強みとしては、管理画面から数クリック、数分で環境の構築ができ、ビジネス機会を逃さないスピーディなシステム構築や、セキュリティ・コンプライアンスの統制を実施しており、安全性が高く第三者監査による検証も行われていること、また、導入の初期費用は無料、従量課金制のため必要な分だけリソースを使うことができ、過去10年間で何度も値下げを実施し、コストダウンを図っていることなどが挙げられます。
大企業から中小企業まで、あらゆるクラウドシフトをスムーズに進められるサービスが揃っており、豊富な高機能を利用したいユーザー様は勿論、コスト削減を図りたいユーザー様向けの万能型クラウドサービスと言えるでしょう。
―AWSの主な特徴と強み―
- 豊富なサービス提供
- クラウド市場シェア1位
- 歴史が長く実績数が多く
- 万能型クラウドサービス
Google Cloud(Google Cloud™)の特徴や強み
検索市場シェアの71.95%と圧倒的なシェアを持つ検索エンジンや、YouTube、Gmail、GoogleMapなど、世界中の人々の生活に浸透した幅広いクラウドサービスを提供するGoogle。
検索エンジンを運用するGoogleはビッグデータの解析に強くグローバルネットワークの性能が圧倒的に高いことで有名です。
またGCPデータ解析の技術を利用できるため、データ分析を簡単に行えるインフラが備わっていることも特徴と言えるでしょう。
Google が提供する各サービス(膨大なデータを対象にした高速な検索処理など)の中で培った技術やノウハウが活かされたGoogle Cloud。
データ解析に適した環境が自動で用意された上で、ビッグデータ解析や機械学習などAI分野のサービスを利用できると言った点は、AzureやAWS など他のクラウド サービスと比較しても大きな強みです。
データ分析や AI 開発を重視する企業や、Google 製のサービスを多く活用したい企業、普段から慣れ親しんでいるサービスを活用・連携しやすいという点とトレーニング環境も整備されていることから、クラウドを初めて利用する企業にもGoogle Cloud は向いていると言えます。
―Google Cloudの主な特徴と強み―
- 全世界に浸透しているgoogleブランド
- Googleエンジンを基盤とした圧倒的処理速度
- ビックデータを解析するプラットフォーム機能を保持
- 機械学習モデルの簡単構築
Azure(Microsoft Azure)の特徴や強み
Azureの最大の特徴は、何と言ってもWindowsに対する親和性の高さです。
オンプレミス環境でWindows Serverベースのサーバを利用していた企業は、クラウドへ移行しても容易に利用可能なため、導入/移行をスムーズに行えます。システムの導入とシステム移行をスムーズに行えるのがAzureの特徴であり、強みといえます。
また、世界規模の巨大なネットワークに対し、好きなツールやフレームワークを使用し、アプリケーションを構築/管理ができます。クラウド・エッジ・オンプレミス全てに対応し、ビルドの方法やデプロイ先を選びません。システム開発や運用に役立つ機能を備えています。
更にはAI + 機械学習を使い、あらゆる開発者、あらゆるシナリオに適した人工知能の能力を活用して次世代のアプリケーションが作成出来るのもAzureの特徴です。
多くの企業で利用されているクラウドグループウェア(SaaS)のMicrosoft 365や、社員管理にも広く用いられているActive Directory(AD)との連携性の高さも人気の1つでしょう。
Windows Server オンプレミス環境をクラウドに移行したいユーザー様や、Microsoft 製のサービスをメインに利用している企業向けのクラウドベンダーと言えるでしょう。
―Azureの主な特徴と強み―
- Windowsに対する親和性の高さ
- Microsoft製品との連携がしやすい
- 次世代アプリの作成環境
- 導入/移行のしやすさ
最後に
3大メガクラウドベンダーの特徴や強みについて簡単に説明しました。
他にも多くのクラウドベンダーは、インターネット経由で各々の機能を連携させることができる API(Application Programming Interface)を公開しています。AWS、Google Cloud、Azure も API を公開しているので、利用目的に応じたマルチクラウド環境を構築し、連携して利用することも可能です。可用性やオープン性を考慮した場合、1つのクラウドサービスだけではなく、複数のクラウドサービスを利用し、マルチクラウドとして活用することが最善の選択肢になる場合もあります。
次回は「国産クラウドベンダーの特徴や強み」について解説します。
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第2回 】
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第3回 】
クラウドネイティブ時代におけるプラットフォームの選択肢【第4回 】