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【AWS解説】Amazon EC2の導入で社内のシステムを効率化できる?まずはEC2の基本を知ろう

2022/05/27(初回公開日:2021/02/08)

Amazon EC2は、AWSを利用するときに基本となるサービスの1つです。AWSを利用するユーザーの多くがEC2をベースに、他のサービスを組み合わせて自社のニーズに合わせたシステムを構築しています。EC2そのものにはごく基本的な機能しかありませんが、AWSの他のサービスを組み合わせることで、さまざまな形で利用できます。AWSの利用を検討しているのであれば、ぜひ理解しておきたいところです。この記事では、Amazon EC2の概要について説明します。

Amazon EC2とは

Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud、以下EC2) はAWS(Amazon Web Service)のサービスの1つです。AWSはAmazon.comが提供するクラウドコンピューティングサービスで、多くの企業や官公庁、個人にも利用されています。

EC2はAWS上でコンピューティング(仮想サーバー)を提供するサービスです。目的に合わせてプロセッサ、ストレージの容量、ネットワーキング、オペレーティングシステムを選ぶことができます。また、「Elastic(縮性・弾力性)」という名称のとおり、アクセス数に応じて利用量を柔軟に変更可能です。

インスタンスを理解しよう

EC2では、仮想サーバーをインスタンスという単位で運用します。インスタンスのタイプやサイズにはさまざまなものがあり、構築するシステムに合わせて選択可能です。選択したインスタンスに他のAWSのサービスを組み合わせて、多様なシステムやサービスを実現することができます。EC2を使いこなすには、インスタンスの基本的な使い方を理解しましょう。

Amazon EC2で利用できるOS

EC2では、Amazon Linux、Windows Server、Red Hatなど、いくつかの標準的なOSが利用可能です。選択することで自動的にサーバーの立ち上げからインストールが行われます。
自社で所有しているOSのライセンスを持ち込むことも可能ですが、自動インストールはできません。EC2 VM Import/Export サービスを利用し、ImportImageツールでマシンイメージをインポートする必要があります。

Amazon EC2の料金体系

EC2では1秒単位で利用した分だけ支払う従量制が基本ですが、いくつかの割安な料金プランも用意されています。用途に応じて料金プランを選択し、コストダウンすることも可能です。

  • オンデマンドインスタンス
    基本的な料金プランです。使った分だけ、秒単位で料金がかかります。長期間の契約は不要で、容量はアクセス数に応じて増減できます。不定期に実行されるアプリケーションに向いているでしょう。
  • リザーブドインスタンス
    年単位で契約することで、大幅に割安になる料金プランです。利用量が予測できる用途に向いています。
  • スポットインスタンス
    使われていないインスタンスの空き部分を指値でリクエストして利用できる料金プランです。非常に割安ですが、インスタンスのスポット価格が変動するというリスクがあります。データ分析、バッチジョブ、バックグラウンド処理などに向いた料金プランです。
    ただし、スポット価格がユーザーの設定した上限価格を上回った場合、スポットインスタンスが中断され使用中の仮想マシン(EC2サーバー)は停止するというリスクがあります。
  • Dedicated Host
    特定のユーザー専用の物理的なEC2 サーバーを利用する料金プランです。利用量に応じて時間単位で料金がかかります。ライセンス条項に制限のあるソフトウェア、厳しいコンプライアンスや規制要件を遵守したいときに向いた料金プランです。
    Windows Server、SQL Server、SUSE Linux Enterprise Server などのライセンスも利用でき、トータルでコストを削減可能です。
  • Savings Plans
    1年から3 年の間、一定の利用量を契約すると割引になる料金プランです。利用期間は長いですが、構成の変更などは柔軟に対応可能なので、初めてAmazon EC2を使うときにも向いています。

上のすべての料金プランで、時間あたりの利用料金のほかに、EC2からのデータ送信量により、データ転送料金が必要です。EC2のデータ受信は無料になります。

利用料金は基本的に次のように計算され、料金プランにより割引もあります。

利用料金=(利用した時間に応じた利用料金)+(EC2からのデータ送信量に応じたデータ転送料金)

EC2には12ヶ月分の無料試用期間(ただしAmazon EC2の使用時間は750時間/月まで、無料枠に関する詳細はこちら)があるので、さまざまな使い方を試してみましょう。それによって必要な利用量を見積もることができます。

Amazon EC2のメリットと注意点

EC2を利用するときには、そのメリットと注意点をよく理解しておきましょう。

Amazon EC2のメリット

  • 無駄な料金を支払う必要がない
    利用した分だけ支払えばよいので、無駄な費用を払う必要がありません。不要なインスタンスがあれば停止してコストカットしたり、適切な料金プランを使ってコストダウンしたりすることも可能です。初期費用もかからないのでオンプレミス環境よりはコストダウンしやすいと言えます。
  • スペックは目的に応じて選ぶことができ、変更も可能
    EC2では、多くの種類のCPU、メモリ、OSなどのリソースが用意されており、目的に応じて最適なスペックを選ぶことができます。さらに、利用中にスペックを変更することも容易です。スペック変更の操作は画面で設定するだけで済みます。一度利用中のサービスを停止して新しいスペックのサーバーにデータベースを移行したり、移行後にDNSの切り替えを行ったりする必要はありません。
  • スピーディーな構築が可能
    EC2は、AWSのアカウントがあれば利用可能です。利用申込もAWSコンソールで操作するだけで、数分あればインスタンスの立ち上げが完了します。
  • OSのライセンス料金も含まれている
    EC2に標準で用意されているOSを使う場合、別にライセンスを購入する必要はありません。EC2の利用料金にOSのライセンス料金が含まれています。
  • インスタンスの複製が容易
    EC2のインスタンスは複製や削除も容易なので、さまざまな形で活用可能です。開発用と本番用のサーバーを分割したり、冗長化を実現したり、A/Bテストを行ったり、テンプレートを作成したりすることができます。
  • 複数のロケーションがあり、リージョンを選べる
    AWSのデータセンターは世界各地に存在します。利用するリージョンは選択できるので、利用する場所や開発する場所に近いリージョンを選択してパフォーマンスを上げることも可能です。あるいは、複数のロケーションにインスタンスを立てて障害対策もできます。
  • ストレージやバックアップなど他のサービスと併用する必要がある
    EC2で提供されるのは仮想サーバーのみです。しかし、実際にサービスを運用するには、ストレージ、バックアップ、セキュリティなど、ほかにも必要な機能があります。その部分はAWSの他のサービスを組み合わせることが必要です。
  • コストが変動しやすい
    AWSは利用した分だけ料金を支払いますが、EC2の料金は利用したコンピューティングリソース数やEC2からのデータ送信量によってコストは毎月変動するものです。また、オートスケールを設定していると、コストはより大きく変動します。そのため、毎月決まった請求額にならないことも多く、予算をはっきりと決めることが難しいのです。
  • 決済方法が限られている
    AWSを直接利用すると、料金の支払いはすべて米ドル建てで計算されます。また、支払いにはクレジットカードが必要です。会社の規定によりクレジットカード決済ができない場合は、請求代行サービスを利用すると日本企業に合わせた請求書払いにすることができます。
  • セキュリティはAWSとユーザーが分担する
    AWSでは「責任共有モデル」と呼ばれる、セキュリティの責任範囲をAWSとユーザーが分担すると規定しています。ユーザーは、OSやアプリケーション、データについてのセキュリティに責任を負わなければなりません。

Amazon EC2の注意点

Amazon EC2を利用するには

AWSのアカウントがあれば、次のようにして、数分でEC2を利用開始できます。

Amazon EC2のセットアップ

  1. AWSにサインアップする
    次のページから、AWSのアカウントを作成します。
    AWS アカウントの作成|AWS
    一度AWSにサインアップすると、自動的にAWSのすべてのサービスにサインアップが可能になります。料金を支払うのは実際に使用したサービスのみです。
  2. キーペアを作成する
    公開キーの暗号化を使用するため、キーペアの名前とプライベートキーを指定して、SSH を使ってログインします。キーペアは、最初のログインを行うときに作成するか、EC2のコンソールから作成することが可能です。
  3. セキュリティグループを作成する
    セキュリティグループはインスタンスの仮想ファイアウォールとして機能し、トラフィックをコントロールします。セキュリティグループは、Amazon VPCのコンソールから作成可能です。
  4. インスタンスの立ち上げ
    EC2コンソールから[Launch Instance(インスタンスの起動)]を選択し、起動ウィザードに合わせて操作します。ウィザードの最初でAMI(Amazonマシンイメージ)を選択します。これによって、インストールするOSとアプリケーションを選択することが可能です。これでインスタンスの立ち上げは完了します。
  5. 普段の操作
    通常使用するときには、EC2 コンソールから操作します。 AWS コマンドラインインターフェイス(CLI)からの操作も可能です

Amazon EC2の関連サービス

EC2と組み合わせて使われることが多いのは、次のようなサービスです。

  • Amazon S3
  • Amazon Simple Storage Service。大量のデータ保存に向く、コストパフォーマンスの良いストレージ
  • Amazon EBS
    Amazon Elastic Block Store。EC2に割り当てることができるブロックストレージ
  • Amazon Route53
    クラウドベースのDNSで、EC2やAmazon S3にユーザーリクエストを効率的に接続する
  • Amazon RDS
    Amazon Relational Database Service。クラウド上にあるリレーショナルデータベースの構築、運用、管理を行う
  • Amazon EC2 Auto Scaling
    条件と需要にしたがって、EC2のインスタンスを自動的に増減し、可用性を保つ
  • Amazon Elastic IPアドレス
    インスタンスに紐付けて固定IPアドレスを利用できるようにする
  • Amazon ELB
    Amazon Elastic Load Balancing。アプリケーションへのトラフィックの負荷を自動的に分散する
  • Amazon CloudWatch
    AWS上のリソースとアプリケーションをモニタリングし、パフォーマンスや信頼性を高める

Amazon EC2の特徴を理解して使いこなそう

AWSの導入を検討するなら、まずはEC2のインスタンスを理解しましょう。多様な使い方が可能なので、逆に使い方がはっきりしないと思われるかもしれません。その場合は、構築したいシステムがどのようなものかを明確にする必要があります。それによって、どのようなサービスと組み合わせ、どう使えばいいのかが決まってきます。方向が決まれば、EC2の無料試用枠でいろいろなパターンを試してみるのがおすすめです。

AWSは、新規にシステムを構築するだけでなく、オンプレミス環境からの移行にも利用できます。オンプレミス環境からAWSへの移行については「AWSへの移行をスムーズに行うには準備が重要 AWSの移行サービスも活用しよう」をご覧ください。

参考:

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