【茨城地区活動紹介】IoT研究会①
茨城地区で独自に行っている「IoT研究会」という活動を2回に分けて紹介します。第1回目の本記事では、IoTとは何か、IoT研究会がどのように発足されたのかについて、また、開発システムの一部を紹介します。
はじめに
本シリーズでは、茨城地区で独自に行っている「IoT研究会」という活動を2回に分けて紹介します。
第1回目の本記事では、IoTとは何か、IoT研究会がどのように発足されたのかについて、また、開発システムの一部を紹介します。
IoTとは
IoTとは、Internet of Thingsを略したもので、モノとインターネットを組み合わせ、活用する技術のことを指します。
モノからデータを収集したり、離れた場所からモノに指示を出したりといったことに利用されています。インターネットと接続されたモノはIoT機器と呼ばれ、家電や自動車、工場や医療現場の設備など様々なモノがその対象になっています。
IoTの技術は、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノをインターネットと組み合わせることで、モノやサービスに新たな価値を生み出しています。
IoT研究会とは
IoT研究会では、各年度の新入社員がリーダーと連携しながらIoT関連システムを実証実験するプロジェクトを行っています。
例年、小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi」(以下、ラズパイ)にセンサーやモジュールを取り付け、センサーやモジュールから取得した情報をPCで閲覧するシステムを開発しています。
活動目的
IoT研究会の活動目的は大きく分けて下記の3つです。
① 技術力を顧客へアピールし、案件受注に繋げること
② ノウハウを蓄積し、自社製品の開発に繋げること
③ 新入社員が要件定義から完了報告までの流れを実際に経験すること
来歴
IoT研究会の来歴について、まずは発足経緯を紹介します。
さかのぼること2013年、茨城地区の主任以上が月に1度、地区に集まって、茨城地区の将来を議論するミーティングが始まりました。2014年には、茨城地区の社員全員が集うミーティングが行われるようになり、そこで「仕事で培ってきた自分達の技術を集めて何か作れないか?」という提案がありました。
また、「茨城地区は他地区と違って制御組込系の仕事が高い割合を占めているため、新人研修の内容だけでは茨城配属者には不十分である」、「新人研修後すぐに茨城地区の業務に参画するのは新人も指導者も不安や負担が大きいため、茨城地区に合った配属時研修が必要だ」との意見も挙がりました。
2016年、教育用ボードコンピュータとして安価なラズパイが注目されはじめた折、ラズベリーパイ2が発売されました。学生時代にラズパイを使ったシステム開発の経験を持つ新人が茨城に配属されたことも重なり、配属研修を主目的にIoT研究会が開始されました。以降、配属研修として各年7月~9月はIoT研究会を継続してきました。
しかし、ある時期から「受注案件がなくとも7~9月はIoT研究会がある」というような原価を意識しない取り組みになってしまったため、投資活動として成果を意識した取り組みに戻すために一時中断し、配属研修は必要最小限の期間のみとしました。
2022年も、茨城地区に配属された新人たちがIoT研究会で活動予定です。どのようなシステムを作ったのか、今年の活動内容もいずれご紹介出来たらなと思います。
開発システム紹介
IoT研究会では、2016年、2017年、2018年、2021年は各年度1つのシステムを開発し、2020年は新人3人がそれぞれ異なるシステムを開発しました。
これらのシステムを「画像撮影・解析系」と「環境情報取得系」の2つのカテゴリに大きく分け、本記事では「画像撮影・解析系」のシステムについて紹介していきます。
それぞれのシステムについて、下記の内容に沿って説明します。
①システム仕様 :使用したセンサー、センサーからの取得内容、PCに表示させる内容など
②活用システム案:作成したシステムを実際にどのように活用できるか、また、活用するために克服すべき課題は何か
③担当メンバーの所感:このシステムを開発した理由、また、開発を終えての感想
④構成図:システム構成を図で表したもの
カテゴリ:画像撮影・解析系
2016年 IoT監視カメラシステム
①システム仕様
カメラモジュールで対象を監視し、対象に動きがあったときに映像の記録を行う。日時を選択し、収集した映像をPCから閲覧できるシステム。
②活用システム案
顔認証技術と組み合わせ、知らない人が家に来たときのみ映像を記録し、訪問があったことをメールで通知するシステムとして活用する。
課題 : 映像の録画のみを目的としたため、映像の解像度が低い。
→解像度を高めたうえで、顔認証技術を使用し、知らない人を判別できるか検証が必要。
③担当メンバーの所感
最初なので、まずは身近な機器であるカメラと、身近な環境で何かできないかと考えて、このシステムを開発する事に決めました。実用できるレベルにはまだまだ達していませんが、今後、顔認証等の高度な機能を加えていく為の土台は作れたと思います。
④構成図
2020年 電話着信情報管理システム
①システム仕様
フォトレジスタを使用して着信時に電話のディスプレイが点灯したことを検知する。検知したらカメラモジュールを起動し、ディスプレイの写真を撮影する。画像解析技術を使い、撮影した写真から電話番号の文字列を解析する。着信の時間傾向・発信元傾向のグラフをPCで閲覧できるシステム。
※フォトレジスタとは
入射する光の強度が増加すると電気抵抗が低下する電子部品のこと。
②活用システム案
駐車場に予め登録されていないナンバーの車が駐車したら写真を撮影し、メールに写真を添付して通知するシステムとして活用する。
課題 : 数字だけでなく、ひらがなや漢字を正しく読み取るためのアプローチが必要。
③担当メンバーの所感
着信の時間傾向が把握できれば着信時に不在で対応できないケースを減らせると考え、本システムを開発しました。電話機の特性と使用できるモジュールから画像解析という手法を選びましたが、解析の精度向上に悩まされつつも楽しく創意工夫できました。
④構成図
2021年 色占有率分析システム
①システム仕様
飲み物の入ったペットボトルを撮影した画像を使用し、画像からペットボトルを検出する。画像全体のなかでペットボトルのラベルや中身の色がそれぞれどのくらいの割合を占めているかをPCで閲覧できるシステム。
②活用システム案
野菜や果実をカメラモジュールで撮影し、撮影画像の色占有率と収穫適期の野菜や果実の色占有率をPCに比較して表示するシステムとして活用する。色占有率を比較することで、熟度を客観的に確認し、収穫の判断を行うことができる。
課題 : 植物ごとの収穫適期の色占有率について調査・検証が必要。
③担当メンバーの所感
本やネットでよく見る画像検知とは何かを実際に動かして内容を知りたいと思い、本システムの開発を決めました。開発のための調査を行うことで、理解が深まる過程が楽しかったです。
④構成図
おわりに
本シリーズの第2回目の記事では、今回紹介しきれなかった「環境情報取得系」のシステムについて紹介します。 ぜひ、次回もご覧ください。